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東京高等裁判所 昭和24年(新を)160号 判決

被告人

田中茂一郞

主文

本件控訴はこれを棄却する

理由

憲法第三十八條第二項刑事訴訟法第三百十九條第二項の法意は被告人の自白丈けでは犯罪を認定することはできない被告人の自白がありても必ずその自白を補強するような支柱的証拠を必要とするというのである、しかしながら論旨にいう如く自白を除いても所謂補強証拠のみで全犯罪事実を証明することができなければならぬという趣旨ではない、原判決は被告人の自白と被害者の盜難被害届によつて被告人の本件犯罪事実を認定しているがが右盜難被害届によつて確に本件の如き盜難事件のあつたことが判り被告人の自白は架空なことでないことが立証せられるからこの支柱的証拠と被告人の自白と相待つて被告人本件犯行も認定したのであつて右憲法及刑訴法の法條に背くものではない

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